さばイバル・プロジェクトとは
私たちの食卓に、いつも美味しい魚がある。
その象徴とも言える魚のひとつが、「サバ」でした。
私たちが、いつでも魚をお腹いっぱいにいただくことができるようになったのは、意外にも新しく、太平洋戦争のずいぶん後、つまりここ80年以内のことです。
昔は、海の近くで、そこで獲れた魚をいただくのが一般的でした。
戦後、船や漁業技術、冷蔵・冷凍技術の進歩、交通網の発展によって、全国どこででも、いろんな種類の魚が食卓に上るようになったのです。
時を同じくして、巻網という漁法によってサバが大量に漁獲され(日本中で年間約150万トン)、美味しいけれど安い魚として親しまれるようになりました。
アジやイワシ以上に、サバは全国どの海域でも漁獲されたことで、大衆魚の王様とも言われていました。
ところが、1970年代半ばをピークにして、サバの漁獲量は低下の一途となりました。
あまりの人気のため、獲りすぎてしまったようです。
2000年代の初めには、日本沿岸のサバは絶滅するのでは?とさえ言われるようになり、漁業先進国ノルゥエーから輸入されるサバが食卓の大半を占めていました。
そこで、私たちの先人たちが、サバの養殖に挑んだのです。
漁獲された天然の小さなサバを生簀で育てる「畜養」でしたが、養殖ならではの品質管理によってお刺身でいただけるという新たな価値が生まれ、徐々に存在感が大きくなっていきました。
そして、2019年頃までには、全国20ヶ所近くにブランド養殖サバが生まれ、多くの方々に親しまれつつありました。
しかし、今、その養殖サバも、大きな危機に瀕しています。
原因は、地球温暖化による海水温の上昇。
特に夏の海水温は、2010年代には29℃が最高でした。しかし、ここ数年、31℃が当たり前になっています。
たった2℃の違い…しかし、魚にとっては、人間が14~16℃に感じる違いと同じです。
また、サバは回遊魚。つまり、冷たいときには暖かいところに移動でき、熱いときには冷たいところに移動できる魚なので、高すぎる温度に耐える力を持っていません。
各地の養殖サバが、高海水温によって大きな打撃を受けています。
そんな中でも、サバ養殖を、そして復活しつつあった日本のサバを、私たちは諦めたくない。
そのために、「高海水温に耐え得るサバを、完全養殖で生み出す」決意をし、産学官の力を合わせて発足したのが、『さばイバル・プロジェクト』